朝日新聞社グループの現在
2020年 春のメディアレポートNo.6
テレビネットワークの特徴
2014年4月に認定放送持株会社、「テレビ朝日ホールディングス」(以下HD)を設立し、ネットワーク再編を進めている。テレビ朝日をキー局とするANN:オールニッポンニュースネットワークは全国26のテレビ局で構成されている。日本テレビHDでは50年代、60年代設立の局がネットワークの6割強を占めるが、テレビ朝日HDの場合は80年代以降に設立した局が半数以上を占める。特に90年代以降10局も新設している。1959年に教育放送専門の「日本教育テレビ」として設立され、その後総合局としての免許を取得し、1977年に全国朝日放送株式会社に社名変更した。ネットワークのキー局としての動きは遅かった。
認定持株会社の関係会社は20社あり、連結子会社1社(テレビ朝日)と持分法適用関連会社9社を含む。各局への出資は、テレビ朝日HDと朝日新聞社の2社中心に行われているが、朝日放送グループHDや九州朝日放送でも少数行われている。グループの持つの議決権合計は、この20社全てにおいて支配の基準である3分の1を超えている。
テレビ朝日HD自体の大株主は、朝日新聞社、社主村山家の美術品を収蔵している香雪美術館、九州朝日放送、朝日新聞文化財団の4者で、合計約35%の議決権を持っている。
ANN加盟社で認定持株会社の非関係会社
該当するテレビ局は6社ある。近畿広域の朝日放送、福岡県の九州朝日放送、資本が競合するクロス配信局2社などである。広島では支配2社が議決権の約25%を確保しているが関係会社となっていない。近畿広域の朝日放送は、2018年4月に認定放送持株会社「朝日放送グループホールディングス」を設立して独立している。
ネットワークがカバーしていない県
青森県、山梨県、富山県、島根・鳥取県、徳島県、高知県の6エリア。
今後の展開はどうか?
本格的な映像配信を可能にする5Gに向けた携帯電話の関係では、2008年12月5日にKDDIとテレビ朝日、朝日新聞社の「3社が連携してそれぞれの持つ経営資源を活かしたビジネスの開発・実行を共同して推進すること」に合意した。
2019年12月11日、TELASA 株式会社を設立、KDDIとテレビ朝日が株式を半数づつ保有し、新しい動画配信プラットフォームを共同運営する。KDDIの動画配信事業「ビデオパス」を継承したサービス名称「TELASA テラサ」を4月7 日から開始した。
そのほか、2016年4月からサイバーエージェントと「ABEMA TV」を運営している。
公益財団法人香雪美術館の株式保有問題
美術館の名誉理事長である朝日新聞社主が3月3日に死去され、社主の持株が香雪美術館へ遺贈されることが話題になっている。従来の朝日新聞株式10%に加え、社主の持株11.02%が遺贈されると、21.02%の議決権を理事会が持つこととなり、グループ全体への資本・人事面での影響力が強まることが危惧される。
テレビエリア人口カバー率
日本全国は地域放送免許により32のエリアに区分される。ネットワークが議決権3割以上を持つテレビ局のカバーする人口を示す。2019年人口推計、単位は1,000人。
関東広域圏、近畿広域圏、中京広域圏の3つのエリアで59.7%の人口カバー率を持つ。
第10番目のエリアである長野県までを含むと78.2%の人口の人口をカバーする。