情報工房zukayer

じょうほうこうぼうズカイヤー 。Shimoda Yuji 元企業の戦略企画担当。メディアの動向と軍事情報ネットワークを研究中。

3. 東京放送ホールディングスと三井グループ

3.東京放送ホールディングス三井グループ

1977年、業績不振に落ちいった毎日新聞社TBS株を放出し、それ以来東京放送ホールディングスとの資本関係は無くなった。人的関係では、17年度有価証券報告書によれば、毎日新聞会長が東京放送HD取締役に就任している。

 新聞社の資本による後ろ盾を失った東京放送HDは、200510月の楽天による約15%の株式取得を受け、その支配権をめぐる争いが始まった。

 2009年、三井グループの支援を受け認定放送持株会社の認定を受け、株式問題を解決した。同時に三井グループに加盟、二木会月曜会三井業際研究所に参加している。現在、三井物産三井住友銀行三井不動産は大株主となっている。

 一昨年度、東京放送HDの不動産事業は4.4%の売上構成比にもかかわらず、営業利益の42.3%を稼いでいる。有価証券報告書の「経営上の重要な契約等」には 三井不動産との赤坂サカスにおける業務棟の一括賃貸借、テナントへの転貸借及び運営管理業務一切を記載しており、三井グループの影響力を示している。

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東京放送ホールディングス三井グループ

JNNネットワークは全国28局で構成されているが、新聞社の後ろ盾がないためか認定持株会社の関係会社は6社のみである。議決権で支配の基準である3分の1を超えるテレビ局はTBSテレビ1社のみである。

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東京放送ホールディングスの関係会社

関係会社以外の22社は、青森テレビ、テレビ山形、あいテレビを除き、1960年前後に開局したラジオ・テレビ兼営社である。初期開局のため地方紙・県紙の影響力が強く、ネットワークの支配拡大が困難だったのだろう。東京放送HDを含め、JNN加盟4社が認定放送持株会社となっており、ネットワークのバラバラ感は否めない。中京広域は中日新聞の影響力が強い中部日本放送、近畿広域は毎日放送を傘下に持つMBSメディアホールディングス、岡山・香川県域は山陽新聞が出資するRSKホールディングスである。

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JNN その他のテレビ局


今後の展開はどうか?

今後のメディア展開に影響する5Gに向けた携帯電話会社の関係では、NTTドコモが議決権3%の株主である。

業務提携では、2011122日、東京放送HD三井物産日本経済新聞社テレビ東京(当時)、毎日新聞社NTTドコモの6社が発表している。

インターネット放送では「パラビ」、(株)プレミアム・プラットフォーム・ジャパン20188月に設立した。東京放送HD日本経済新聞社テレビ東京HDWOWOW電通博報堂DYの6社が参加している。今後、全国ネットワークの弱い東京放送HDテレビ東京2社が三井グループを媒介に、マージするということは考えられないだろうか?