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じょうほうこうぼうズカイヤー 。Shimoda Yuji 元企業の戦略企画担当。メディアの動向と軍事情報ネットワークを研究中。

最新 米国宇宙軍の構造について

最新 米国宇宙軍の構造について

昨年1220日に米国宇宙軍 (U.S. Space Force) が設立されてから1月あまり、宇宙軍の構造が大まかに見えてきた。

空軍長官のもとに空軍省は空軍参謀長(Chief of Staff, US Air Force)と宇宙作戦部長(Chief of Space Operations)に分かれ、宇宙作戦部長が宇宙軍の指揮をと

る。海軍の場合、海軍長官のもとに海軍作戦部長と海兵隊総司令官に別れるのと同様である。海兵隊と違うのは宇宙軍には専任担当の次官が付く点である。

 

 宇宙軍 (U.S. Space Force) はバージニア州アーリントンのペンタゴン内に設置され軍政を司る。陸海軍などと同様の6番目の組織となる。母体は旧空軍宇宙コマンド(AFSPC:Air Force Space Command)である。

 宇宙コマンド(U.S. Space Command)は、コロラドスプリングスのピーターソン空軍基地に設置され、John W.Raymond司令官が11番目の統合軍(Combatant Command)として軍令を司る。宇宙コマンドはSPOC、CFSCC、JTF-SDの3つの部門を持つ。

 1番目のSPOC(Space Operations Command)=宇宙作戦司令部は、20191220日に元の第14軍(14th Air Force)から改称された。司令部はバンデンバーグ空軍基地カリフォルニア州)に置かれ、司令官はJohn E. Shaw少将。5つの航空団(Wing)で構成される。

 衛星打ち上げを担当する2つの宇宙航空団、30宇宙航空団 (30th Space Wingバンデンバーグ空軍基地)と45宇宙航空団 (45th Space Wing、パトリック空軍基地、フロリダ州)がある。21宇宙航空団 (21th Space Wingピーターソン空軍基地)は、ミサイル警戒と、地上レーダーの運用、GEODSS(地上電子的光学深宇宙監視)などの運用を行う。GEODSS(Ground-base Electro-Optical Deep Space Surveillance)は、望遠鏡、低照度テレビカメラ、コンピュータによる光学システム(AN/FSQ-224)をホワイトサンズ、ディゴガルシア、ハワイに展開している。460宇宙航空団 (460th Space Wing、バックリー空軍基地コロラド州)は、早期警戒衛星のSBIRS-GEOSBIRS-HEO STSS を運用制御し、地球規模でのミサイル警戒監視を行う。50宇宙航空団 (50th Space Wing、シュリーバー空軍基地コロラド州)は、国防総省所有の衛星の指揮・管制を行う。衛星運用ネットワークの維持管理を行う第50ネットワーク作戦群

(50th Network Operations Group)と、管轄する人工衛星の追跡・監視・制御を行う第50作戦群(50th Operations Group)の2つの作戦群を持つ。GPSAEHF WGS通信衛星、光学センサーによる衛星・デブリの監視するSBSS 宇宙配備宇宙監視衛星、GSSAP 静止宇宙状況認識プログラム衛星の運用を行っている

 2番目のCFSCC(Combined Forces Space Component Command)=統合軍宇宙コンポーネントコマンドは、バンデンバーグ空軍基地に置かれ、司令官はSPOCと兼任のJohn E. Shaw少将 である。技術開発を行う宇宙ミサイルシステムセンターを傘下に持つ。SMSC(Space and Missile Systems Center)。また、CFSCCは4つのセンターを運用している。

CSpOC ( Combined Space Operations Center) 軌道上の物体、デブリを含むカタログを管理している。バンデンバーグ空軍基地。今年新設される予定の航空自衛隊「宇宙作戦隊」と連携する予定である。② MWC (Missile Warning Center) ミサイル警告センター、SBIRS早期警戒衛星の情報を収集している。コロラドのシャイアンマウンテンの地下にある。③ J-OPIRC : OPIR Battlespace Awareness CenterOverhead Persistent InfraRed ) 、新しい早期警戒衛星を運用している。④ JNWC : Joint Navigation Warfare Center 、共同航海戦センターはカートランド空軍基地(ニューメキシコ州)で運用されている。

 

 3番目のJTF-SD (Joint Task Force Space Defense)=宇宙防衛統合任務部隊は、2019/8/21に設立された国立宇宙防衛センター(NSDC:National Space Defense Center)と連携する。国立宇宙防衛センターは、24時間365日運用されるセンターで201818日に運用開始した。宇宙軍の組織ではなく、宇宙軍とNSANROなどのインテリジェンス・コミュニティと情報共有、調整を目的として設立された。

 

 現在は上記3つの組織、約1万6千人の規模である。今後の課題は、宇宙担当国防次官の決定、エアスタッフ宇宙部門の分離、国防総省直轄のRCO(Rapid Capabilities Office)の宇宙部門の分離や、陸軍、海軍の関係部門の分離が検討されている。

 陸軍では米陸軍宇宙・ミサイル防衛司令部 USASMDC(U.S. Army Space and Missile Defense Command) の第1宇宙旅団があげられる。現在、JTACSWGS通信衛星の運用を行っている。海軍では、艦隊サイバーコマンドに所属のMUOS通信衛星を運用する海軍衛星運用センター(NAVSOC:Navy Satellite Operations Center)などがある。

 

以上、米軍ファクトシート、「軍事研究」、「SPACE NEWS」などを参考にした。

 

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